良い病院、良い先生の選び方
肛門科を探す
肛門の診療を受けるのに良い先生を探すには、どうしたら良いでしょうか。第一に手がかりとなるのは、肛門科と看板がある先生を探すことです。
それでは、肛門科と看板がある先生であれば良いと考えがちですが、ところが実際はそうでもないのです。
というのは、厚生労働省の統計によると肛門診療をしている先生は、全国の病院で1687名、診療所では2814名で、4501名となってます。
大変多いように感じますが、この肛門診療に関わる先生の内、肛門診療を主に診療している先生は、2014年で、病院で164名、診療所で268名、計、432名しか存在していないのです。つまり肛門診療に関わる医師のうち、病院の先生の10%、診療所の先生の10%が、肛門診療をメインとする医師ですが、残りの90%は、補助的に肛門診療を行っているにすぎない、専門でもないが肛門診療もする先生ということになります。
当然ながら、肛門診療をメインとする先生と、そうでない先生の間には自ずと治療内容、および、その結果、成績に格差が生じてくると考えられます。
日本大腸肛門病学会に
属している先生を探す
それでは肛門診療を主に行っている先生を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。
肛門診療に関わる先生の学会としては、日本大腸肛門病学会があります。
その学会の専門医であれば良いと考えがちですが、現状は、そうでもありません。
日本大腸肛門病学会において2017年1月の専門医数は、全体で1782名ですが、肛門科領域は357名、20%にすぎません。後の80%は、大腸の外科、大腸の内科の専門医の先生です。
専門医だけでなく会員での割合も同様です。
学会全体の会員数は2017年の2月に時点で7117名ですが、その内、肛門科の先生は845名、12%しかいません。後の実に、88%は大腸の外科、内科の先生ということになっています。
以上から、日本大腸肛門病学会の会員の先生だから、専門医の先生だから肛門の専門の先生と考えて良いということにならないことは、お分かりいただけたかと思います。
日本臨床肛門病学会が
認定する専門の医師を探す
2006年の医療法等の改正以降、肛門領域の唯一の専門医は日本大腸肛門病学会の「大腸肛門病専門医」となっておりました。しかし、それは内科、外科、そして肛門領域が混合した不明瞭なものでした。
肛門領域は単なる外科の1領域と言えない専門性が必要な領域です。そこでそのような状況下で診療のレベルが低下する事態に危機感を持った肛門を専門に診療する医師の集団が、日本臨床肛門病学会を設立しました。そして2018年より新しい専門の医師の認定制度が始まりました。
日本臨床肛門病学会では肛門病の診療に熱心に取り組んでいる医師を審査、認定し、WEBサイト「痔を専門とする医師を探そう」でご紹介しています。痔などの肛門病はそれを専門とする医師を受診することをお勧めいたします。
口コミサイトについて
ここのところGoogleマップなどのネットの口コミについて、気になる評価を目にすることが多くなってきました。
(肛門科も含むものの)別の診療科目がメインの病院が極めて高い★評価を得ており、肛門科での評価ではないのにも関わらず、そちらに患者様が多く流れていることがあるようです。中には痔を専門とする医師が不在である病院も少なくありません。
また、痔の治療はデリケートであり多少の苦痛を伴うため、高い評価がつきにくい傾向がありますので、表向きの★評価だけで選ぶのは避けたいところです。こちらの「病院の口コミの正しい見方」もご覧いただき、ご判断されることをお勧めいたします。
ご注意:このページは一般的な知識や治療方法などをご紹介したもので、医療機関により大きな違いがあります。 肛門は大変複雑で繊細な部位ですので、信頼できる医療機関をご受診ください。
監修:岩垂 純一
(岩垂純一診療所 所⻑/医学博士)