痔が再発する理由と対処法について
肛門は毎日必ず便が通る場所です。どんなに安静を保とうとしても、便が通るたびに肛門は大きく変形します。また、便秘による硬い便や下痢による炎症などでも大きなストレスがかかります、消毒にも限界があり、それだけ手術や手術後のケアが大変になります。
痔の治療を受けたにもかかわらず、時間が経ってまた症状が出てきたという経験をされる方は少なくありません。「再発した」と感じたとき、多くの患者さんは「せっかく手術したのに…」と落胆されることと思います。しかし、実は痔の再発にはいくつかの明確な原因があり、それに応じた対策が必要です。ここでは、痔が再発する主な理由とその対処法について解説いたします。
痔の手術後に再発する理由
痔が再発してしまったということは、そもそも痔が治っていないといえます。
原因は
- 手術自体がうまくいかなかった
- 生活習慣による再発
1. 手術がうまくいかなかった場合の対処法
肛門の手術には豊富な経験が必要です。また、患部から敏感に痛みや辛さを感じるため、手術の失敗は直感的に伝わります。明らかに手術が失敗したりかえって悪化してしまった場合は再手術が必要となりますが、その場合は、他の医師のセカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。可能であれば、日本臨床肛門病学会の認定を受けた専門医に相談することをおすすめします。こうした専門医は痔の診断・治療に豊富な経験を持ち、再発の原因を判断できる可能性が高いです。
2. 生活習慣による再発
肛門は清潔に安静に保つことが非常に難しい部位であるため、手術後の生活習慣は非常に重要です。正しい生活習慣を心掛け、痔が再発しないようにしましょう。
痔の治療後に症状がぶり返すと、不安やストレスを感じる方も多いですが、原因を正しく理解し、必要な対処を行うことで再発リスクを大きく減らすことが可能です。大切なのは、「手術を受けて終わり」ではなく、「その後の生活も含めたケアが痔の治療である」と考えることです。
もし再発の兆候を感じたら、一人で悩まず、肛門科の専門医に早めに相談してください。早期対応が再発の悪化を防ぎ、快適な日常生活を取り戻す第一歩となります。
ご注意:このページは一般的な知識や治療方法などをご紹介したもので、医療機関により大きな違いがあります。 肛門は大変複雑で繊細な部位ですので、信頼できる医療機関をご受診ください。

監修:岩垂 純一
(岩垂純一診療所 所⻑/医学博士)