ヘルシー・メモ「痔」

名医が語るあなたの健康

・裂肛の治療法
 裂肛の治療法は便秘や下痢を防ぐ保存療法が基本です。
 裂肛の排便時の痛みが激しかったり、再発を繰り返すようなときには手術が行われます。
 このような状態では内括約筋の緊張が高まり肛門狭窄となっているため、メスを肛門の側方の粘膜の下に挿入し、狭くなった内括約筋の一部を切開することで肛門を拡げる「内括約筋側方皮下切開術」が行われます。
 もっと慢性化し狭窄がひどくなった場合は、狭窄部分を切開して拡げて生じた傷に外の皮膚を移動させて縫合する「皮膚弁移動術(SSG)」という手術が行われます。

手術が必要な痔ろう ・痔ろうの症状
 痔ろうは男性に多い病気で肛門の感染症といえる病気です。
 直腸と肛門の境目の歯状線にある小さなくぼみ(肛門陰窩(いんか))から便の中の細菌が侵入して、直腸肛門周囲に感染が生じ、膿が溜まった状態を「直腸肛門周囲膿瘍」といいます。
 そして、溜まった膿が自然と出るか、切開されて出て、直腸肛門とつながった膿の管の生じた状態を痔ろうといいます。
 膿が溜まった状態、つまり膿瘍の時期は、直腸肛門周囲が赤く腫れ、強い痛みを生じます。痛みは裂肛と異なり、排便と関係なく常に感じる痛みで、夜、寝ていても感じるほどです。膿瘍の症状で特徴的なのは発熱することで、肛門の病気で発熱するのは唯一、この病気です。
 また、痔ろうとなり膿の管が生じれば、出口から膿が出て下着が汚れます。
 膿が出て痔ろうの出口がふさがり治ったように見えても、入口から細菌が入ると、再び化膿し膿が溜まり膿瘍の症状を繰り返すようになります。

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