ヘルシー・メモ「痔」

名医が語るあなたの健康

(2)正しい排便を心がける
 痔を予防し、悪化を防ぐには、正しい排便が大事です。それでは正しい排便とはどのようなものなのでしょう。
 一口でいって肛門に負担をかけない排便です。
 第一に、トイレは便意を感じてからいくようにしましょう。便を出したい気持ちがないのに決まった時間だからということでトイレにいく人がいますが、それはまちがいです。便意がある、つまり直腸まで便がきているときなら、ほんの少しいきむことで便は出てくれます。便意がないのは直腸まで便が下りてきてないからで、そのようなときに便を出そうとしても肛門に負担をかけるだけです。
 また、完全に便を出しきろうとするのもまちがいです。最初のいきみで、ほとんどの便は出てしまいます。残った便を出し切ろうとしてがんばるのは肛門に負担をかける以外のなにものでもありません。いきんである程度の便が出たら、早々にトイレは引き上げるようにしましょう。
 同じことですが、トイレに長居をしないことも大事です。痔核で手術になった人を調べると、ほとんどの人がトイレにいる時間が10分以上でした。トイレは3分以内をめやすに、早々に引き上げるべきです。
 排便後の後始末、肛門衛生も大事です。排便したあと、単に紙でふき取るのは肛門周囲の細かいしわに便を擦りつけるだけです。そうでなくとも痔の気(け)のある人は肛門周囲がでこぼこしていて、きれいにふき取るのが難しくなっています。便が付着したままだと便に含まれる有害物質が痔の症状、しいては痔を悪化させてしまいます。排便したあとは、紙でふき取るだけでなく、温水できれいに洗うようにしましょう。

(3)日常生活その他の注意点
 ほかに日常生活で注意しなければならないことに入浴を十分にすることがあげられます。一日の終わりにはゆっくり入浴して肛門周囲をきれいにし、負担のかかった肛門部を温め、血のめぐりをよくしましょう。  

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