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監修:岩垂純一診療所

痔核(いぼ痔)の治療

痔核の治療の基本は保存療法です。保存療法を行っても出血がひどい場合や脱出によって日常生活に支障をきたす場合は、外来処置や手術を行います。手術を必要とするのは、痔核の患者さんの1~2割程度です。

保存療法

食生活や排便習慣などのライフスタイルを改善して、痔の症状を悪化させないようにする「生活療法※」が中心です。補助的に「薬物療法」も行います。

※生活療法については「痔と生活習慣」をご覧ください。

【薬物療法】

外用薬と内服薬を使用します。

外用薬:痛み、腫れ、出血を抑える軟膏や座薬
内服薬:便を柔らかくする薬、炎症を抑える薬、抗生物質等の錠剤

薬の使い方はこちらをご参照ください

外来措置

【注射療法/PAO注】

PAO注

出血を繰り返す内痔核に対しては、注射で痔核を硬化、縮小させる「注射療法」が行われます。

この治療方法は硬化療法ともいわれ、外来で処置ができるので、入院の必要はありません。また、注射は痛みを感じない部分に行いますから、麻酔も必要ありません。

まず、内痔核に硬化剤(五%のフエノールアーモンドオイル)を注射して、内痔核の血管周辺に炎症を起こします。その結果、二次的な線維化により、血管を押しつぶし、内痔核の血流を低下させることによって、痔核を硬化、縮小させ、出血を防ぎます。

内痔核からの出血を止めるには、絶対的な 効果のある注射療法ですが、この効果は永続 的なものではありません。本人の自己管理にもよりますが、約一年ほどで効果はなくなります。

再発して注射療法を行うのは、いったん注 射し固めた部分に再び注射をするわけですから、注射液が入りにくく、その効果は減少します。そして何度も注射を繰り返していると、しだいに内痔核が硬くなってきて、いざ手術となった場合、きれいな手術ができなくなることもあります。そこで注射療法を行ったら生活療法を実践して再発を防ぐことが大切です。

【ゴム輪けっさつ療法】

ゴム輪結紮療法

痔核がさらに悪化し、肛門から脱出するようになった場合は「ゴム輪結紮療法」を行います。

ゴム輪結紮器という特殊な器具を使って、内痔核の根元に小さな輪ゴムをはめ込みます。

内痔核の根元にはめ込まれた輪ゴムは徐々に、その根元を締めつけていき、1〜2週間後には痔核がとれるという治療方法です。

この間、患者さんはふだん通りの生活を送ることができますし、痔核は輪ゴムとともに、一週間ほどでとれて便と一緒に排世されます。

この治療方法は注射療法と同じように、外来で治療ができます。ただし、ゴム輪結紮療法は麻酔をしないので、痛みを感じない内痔核、つまり歯状線より上にできる、直腸の痔核、内痔核のみが脱出している場合に行います。

痛みのある外痔核を伴っている場合や内痔核が大きすぎたり、小きすぎたりする場合、あるいは注射や手術などをして痔核が硬くなっている場合は、輪ゴムがうまくはめ込まれないことから、この治療は行いません。

手術療法

【結紮切除術】

結紮切除術

内痔核が進行して大きくなり、痛みのある外痔核を伴って肛門から脱出するようになり、日常生活にも支障をきたすような場合や、保存療法や注射療法を行っても出血が止まらず、再発を繰り返したりする場合には、入院の必要な手術が行われます。

手術は、内痔核に注入動脈を根元の部分でしばって、痔核を放射状に部分的に切除するという「結紮切除術」が行われます。

手術時間は、だいたい15分以内ですが、1〜2週間程度入院が必要です。手術は、腰椎麻酔をして行います。腰椎麻酔は下半身だけきく麻酔ですので、手術中は医師と会話をしたりすることもできます。もちろん、手術中は何の痛みもありません。内痔核の根元を、しばった糸は、抜糸の必要はなく、術後10日ほどで自然に溶けてしまいます。

また、これまでの結紮切除術では、痔核を切り取った手術後の傷口は、開放したままにしておきましたが、現在では、傷口を縫う「半閉鎖手術」が行われるようになってきています。

この半閉鎖手術によって、手術後の肛門狭窄(肛門が狭いままで固まってしまう状態) を防ぐことが可能になるとともに、手術後の出血も減少するようになりました。また、痛みを訴える人はこれまでの10分の1ぐらいに減少し、6週間程度かかっていた傷口の治りも3週間に短縮されています。

【注射療法/ALTA注(ジオン注)】

ALTA注(ジオン注)

2005年から始まった脱出する痔核にも効果のある、新しい注射療法です。

注射液はアルミニウムカリウムタンニン酸液(ALTA)で、注射部位に炎症を生じ、炎症が治まる際に線維化が生じます。線維化は周囲の筋組織を巻き込み固定され痔核はしっかりと下の部分、つまり括約筋に固定され脱出しなくなります。

その効果は半永久的で注射された痔核部分は硬化、固くなり、縮小します。

ただ強い薬液のため、正しく注射しないと合併症として直腸狭窄や潰瘍を来す恐れがあります。

合併症を来さないよう、効果を十分に得るためには痔核を4カ所にわけ、適量づつ注射する4段階注射法という特殊な注射手技が必要となります。

また脱出する痔核に効果があると行っても全ての脱出痔核に適応となりません。つまり注射は注射しても痛みを生じない内痔核のみに注射し得る方法のため、脱出する痔核部分が外痔核が大きいと効果がなかったり再発してしまいます。

最近、新しい治療法として痔核結紮切除術とALTAの併用療法が行われるようになってきました。

ALTAで効果のない部分、外痔核部分を切除し、内痔核部分にはALTA注射する方法です。

内痔核を手術しようとすると血流が豊富で手術も難しく、切除して糸で縫合しても、糸が溶けたとき、傷が開き、出血することがあるが、ALTAだと注射するだけなので容易で、術後の出血も防げます。

またALTA単独の時と比べて、ALTAの使用量が少ないので合併症を防げる効果もあります。

また手術の傷が小さいので、術後の痛みは少なく、日帰り手術も可能となります。

治療の進め方

監修者のご紹介

岩垂純一

医学博士 岩垂 純一

社会保険中央病院時代には年間2,000例以上の肛門手術を執刀、外来診察は1日150〜200名を数える。退職後は理想的な肛門の診察と治療の実現を目指し、自身の診療所を銀座に開設。

岩垂純一診療所 東京都中央区銀座6-6-1 銀座風月堂ビル7F
詳細なプロフィールはこちら:http://www.iwadare.jp/info/prof.html

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